
甘酒手作り体験ワークショップ
今回、日本とルーマニア出身の高校生を対象に、「伝統的酒造り」の価値と魅力を伝えるべく、ノンアルコールかつ栄養価の高い米麹由来の「甘酒」の手作り体験ワークショップを実施しました。 学生や講師を含めて、合計約30名ほどの方々に参加していただきました。はじめに、「麹」をテーマに、日本の食文化と発酵の関係についてのプレゼンテーションを行いました。その後、甘酒仕込み体験、塩麴作り体験を行い、実際に甘酒のテイスティングを実施しました。終盤には、学習内容をもとに日本人学生とルーマニア人との間で意見交換を実施しました。
プレゼンテーションの冒頭、「『麹』という言葉を聞いたことはありますか?」という質問に手を挙げたのは、日本人学生のみ。しかし、味噌汁や醤油、日本酒の画像を見せると、ルーマニア人学生から「Miso Soup!」「Soysauce!」「Sake!」という活発な声が見られました。そう、世界で人気を集める日本食の基礎は「麹」によって支えられています。麹には、約100種類の酵素が含まれ、特にプロテアーゼがタンパク質を分解し旨味である「アミノ酸」を生み出し、アミラーゼが甘味である「ブドウ糖」に分解するなど、0発酵に欠かせない役割を果たしています。また、1000年以上の長い歴史の中で育まれた麹菌は、日本醸造学会より「国菌」に認定され、2024年12月には「伝統的酒造り:日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術」がユネスコ無形文化遺産にも登録されました。中でも、甘酒は「飲む点滴」と呼ばれ、栄養価の高さと吸収の良さで親しまれています。特に、米麹の甘酒はアルコールを含まず、自然な甘みとやさしい口当たりが特徴です。栄養面での働きから、疲労回復や栄養補給、美容における効果も期待され、健康志向の現代に日本が誇る万能ドリンクと言えます。
続いては、甘酒手作り体験。ここでは、炊飯器の「保温」機能を使った甘酒レシピを基に、甘酒の仕込み段階を体験しました。日本人学生・ルーマニア人学生ともに初めての挑戦で、「こんなに簡単にできるなんて!」という驚きの声が多く聞かれました。中には、余った麹を自宅に持ち帰り、自宅でも試したいと話すルーマニア人学生も複数いました。塩麴体験では、一週間かけて毎日一回かき混ぜながら発酵させる過程があることから、「育てる感覚が面白い」といった発酵調味料への新鮮さを感じるという意見も。最後の意見交換の際には、これと関連して、ルーマニアにある酸味の効いた酢のような発酵調味料「Borș(ボルシュ)」との比較も挙がりました。甘酒や塩麴は「麹」を通じた発酵であり、Borș(ボルシュ)」は「乳酸菌」を通じた発酵であるという点で違いはあるものの、国境を越えた「発酵」による食文化の多様性についても深く考える機会になりました。
