ルーマニア・アメリカ大学「アンジェラ・ホンドゥル」日本研究センターを視察しました

日本文化を学ぶルーマニア人学生

滞在期間中には、ルーマニア・アメリカ大学「アンジェラ・ホンドゥル」日本研究センターにおいて、着付けや茶道、生花といった伝統文化を学ぶ学生達の活動風景を見学させていただきました。彼らの活動拠点は、約20年前に日本から持ってきた畳が敷かれた約6畳ほどの「和室」。それぞれのグループに20名ほどのメンバーが在籍しており、毎週定期的に活動を行っているそうです。

着付け部では、ルーマニアで唯一の着物デザイナーであるラウラ・カラメン(Laura Caraman)氏が着付け指導を行っています。原宿系やヴィジュアル系から日本のファッションに興味を持ち始めたというラウラ氏。現在は、着物のデザインから製作まで、全てを自身の手作業で行っています。中でも、ルーマニアと日本の文様を融合させた斬新なデザインが人気です。今回特別に見せていただいた、ルーマニア文様の「ジャスミンフラワー」と日本の「風」を掛け合わせたデザインからは、和と洋が融合した新たな日本文化の可能性を感じました。和室では、着付け部の学生たちが、浴衣を着付けるデモンストレーションを披露してくださいました。学生の中には、今年来日し「着付師」の資格取得を目指しているという学生もおり、私が当日着ていた着物の模様や「ふくら雀」の作り方、着付けに要する時間など、たくさんの質問をいただきました。

また茶道部では、ルーマニアという日本から遠く離れた地でありながら、本格的な裏千家茶道が実践されています。日本から持ってきたという30種類以上の茶碗や茶筅のほか、風炉や高台、炭まで、稽古に必要な道具が全て揃っていました。また、ルーマニアの伝統生地で作ったという「袱紗(ふくさ)」や、ルーマニア陶器で作られた「茶碗」など、ルーマニアの伝統工芸と融合して生まれた新たな茶道具も見られ、多様なコレクションの数々に終始驚かされました。

華道部では、アンドレア・ジョルジェスク(Andreea Georgescu)氏を中心に、草月流のいけばなが行われています。アンドレア氏は、草月流認定講師であり、ルーマニア国内で多数の展覧会や講座も開催されています。大学内でも、いけばな草月流の実践講座が実施され、多くのルーマニア人学生がいけばなを学んでいると言います。今回は、参加学生向けに「いけばな体験ワークショップ」を開催していただきました。今回が初めての挑戦という学生達に向けて、「真(しん)・副(そえ)・控(ひかえ)」などの立体的な美しさを生み出す表現方法について英語で詳しく解説していただきました。

大学構内だけではなく、首都ブカレスト市内には多種多様な日本文化が見られました。市内中心部にある日本庭園は、普段は現地人の憩いの空間となっているほか、春には桜が満開になり5000名以上が訪れる花見イベントも開催されるそう。また現地の書店では、どの店舗を訪れても必ずと言っていいほど漫画や日本文学のコーナーが見られました。ルーマニア人の生活に日本文化が深く根付いている様子に深い感銘を受けました。今回会った学生の中には、最初は漫画やアニメから日本に興味を持ったけれど、今はそれ以上に「思いやり」や「本音と建て前」といった日本人の価値観・考え方をより深く知るため、毎日日本語を必死に勉強しているという学生もいました。彼らの日本語や日本文化に向ける強い関心や情熱に、日本人としての意識や自覚といった「心」の在り方を今一度考え直す貴重な機会をいただきました。

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